白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 その風景があまりにも幸せそうで、泣きそうになる。
 琥白さんは優しく微笑むと、

「何人できるかわからないけど、みんなでパリに行って、ふたばの好きな景色をみんなで見よう」

 琥白さんの手が私の指に這うと、私はその手を思わず握り締めていて、琥白さんもそれに応えるように強く手を握った。

「キスしたいです」

 私がつぶやくと、琥白さんは少し驚いた顔をして、それから嬉しそうに微笑んで、キスをしてくれる。

「もっとする?」
「はい」

 私が頷くと、琥白さんはまた何度も何度もキスをした。

ーーー私はその時、こんな毎日がずっと続くことを祈り始めていた。

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