白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

「ふたば?」

 目を開けると、いつの間にかベッドの上。
 琥白さんが嬉しそうな顔で私を見ていた。

(あれ? さっきはソファで……ソファで……私!)

「……ひっ! まままままさか、最後までしました⁉︎」
「いや、まさか。気持ちよさそうなのはよかったけど、途中で気絶しちゃったし」

 琥白さんは目を細めてそんなことを言う。

「気持ちよさそう、ってそんなことっ!」
「気持ちよくなかった?」

 意地悪く聞かれて、私は言葉に詰まる。
 だって、気持ちよくなかった、と相手が思える状態ではなかったことくらいは私でもわかる。

「そ、そんなこといちいち聞かないでくださいよっ。デリカシーなさすぎです」
「うん、ごめん」

 琥白さんはあっさり謝ると、私の髪を愛おしそうに撫でた。
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