能力を失った聖女は用済みですか?prequel

ある日、突然……

「じゃあまた明日ね! みんなおやすみ!」

目の前にある作物たちに、私はいつものように話しかけた。
F農業大学、第三研究農場の中には、多種多様な作物が栽培されている。
その作物と土壌の状態を毎日記録するのが私の役割だ。
最後まで残るのはいつも私で、消灯も施錠も私の担当。
それを苦にしたことは一度だってない。
だって私はここが好きだし、植物や作物たちが好きだったから。

軍手やスコップを元の位置に戻し、作業服の土を軽く払って出入口の取っ手に手をかける。
さて、今日の夕飯はなににしようかな?なんて呑気に扉を開けた瞬間……強烈な光が私を包んだ。
誰かがイタズラでライトを向けたような、いや、それ以上の眩しさに私は目を覆う。

「なに? いったいなんなの?」

宇宙人が乗ったUFOが不時着でもしたのかな?
制御出来なくなって大学内に落ちたとか?
そんな冗談を考えつつ、うっすら目を開けてみる。
するとそこには……信じられない光景があった。
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