一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
「あなたの言葉があったから、両親に反対されても自分の夢を追いかけてみようと思えた。私が前向きに見えてたんだとしたら、それは全部あなたがそうしてくれたんだよ」

 こんなに好きで感謝しているのに、私は彼の気持ちに応えようとしない。

 自分でも吐き気がするぐらい卑怯だと思った。

「……先に救われたのは俺の方だと思っていた」

 深冬が私を抱き締めながら笑う。

「自主的に語学を学んだり、懸命に勉強したりする姿に力をもらったから俺も実家と向き合えたんだ」

「そうなの?」

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