一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
「深冬が君に話したか知らないけど。俺もあいつも立場上敵が多くてね。深冬の身辺は俺が守ってきたつもりだけど、それでもゼロにはならない。今回の怪我はそういう事情に関係したものじゃないと聞いてはいるよ。でも、深冬が君を庇ってできた傷なんだろ?」

「……はい、そうです。私が襲われそうだったところを彼が助けてくれました」

「うん、だから側にいられると困るんだ。君は深冬の大きな弱点になる」

 アルコールを口にしたというのに、全身が冷えていくようだった。

 智秋さんがなにを言っているかは理解できる。

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