一夜では終われない~ホテル王は愛しい君を娶りたい~
 彼は舌が肥えているだろうに、チェーン店のハンバーガーやお弁当を好んだ。 学食にあるワンコインのうどんだっておいしいと言っていたし、いまいち薄っぺらいメンチカツ定食にも文句を言わなかった。

例のクリスマスデートは御曹司としての片鱗を見せつけたが、普段はごく普通に大学生をしていたように思う。

 私に家業と未来の跡継ぎだと知られたくなくて御曹司の件を隠したと言っていたから、デートやふたりでの食事にも彼なりに気を使って一般人の感覚に合わせていたのだろう。

 今の彼はどんなものを好むのかと返事を待つ。

 深冬はメニューを軽く流し見ると、少しためらった後に口を開いた。

「卵かけご飯だな」

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