片恋

伊月くんに手を引かれてたどり着いたのは、屋上へ続く階段。


先ほどチャイムも鳴っていたし、各教室で授業も始まったのだろう。

あれだけ賑やかだった休み時間の廊下が、静まり返っている。


「い、伊月くん……、どうしたの? なんで、あそこにいたの?」


胸を手のひらで押さえながら、息を整える。


私の手を握ったままの伊月くんは、目を合わせてくれない。
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