片恋
「お、おはよう。昨日、勝手にそれ……使っちゃって、ご、ごめんなさい」


胸に手を当てて、ドキドキとうるさい胸の音を聞きながら、謝る。


「……」


伊月くんは、特に何のリアクションもないまま、こちらをじっと見ているだけ。

怒ってるのかな。

怒るよね、普通。


「あ、あの、いつも何を聴いてるのかなって、気になってつい、というか、その……」


言い訳がましく続けるけれど、緊張しすぎて、もはや自分が何を喋っているのかわからなくなってきた。


「えっと、だからって、勝手に使っていいわけじゃないんだけど、あの」


クラクラしてきたのは、熱のせい? 緊張のせい?


あわあわと焦りながら、身振り手振りで言葉を繋げていると、伊月くんは外したイヤホンの片方をこちらに向けた。


「聴く?」
< 12 / 412 >

この作品をシェア

pagetop