片恋
そんな言い方、勘違いするなって方が無理。

感情が高まって、思わず広い胸に飛び込む。

「うわ、ま、真桜……!?」

焦っている声色で、表情も簡単に思い浮かぶ。

顔を見られなくて、もったいない。

でも、離れたくない。

「嫌だったら、突き飛ばして。私、自分から離れるのはきっと無理だから」

真っ赤になっているであろうこの顔は、抱きついたおかげで見られずに済んだのに、耳までは隠せなかった。


「真桜のこと、突き飛ばしたりなんかするわけないだろ」

そっと背中に腕が回って、高鳴る心臓の音が二倍になる。


片耳で、伊月くんの声をすごく近くに感じる。


今、恋に落ちた音が、聞こえた。
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