※あの乙女はニセモノです

そんなに犯罪者になりたいの?って感じ。



はぁ、こんなのいちいち相手にしてるだけ無駄。



こっちの体力消耗させられて疲れるだけ。



それに今日は早く帰らなきゃいけない日。



私は歩く足を早めながら右腕に付けていた時計で時間を確認する。



「…いたっ」



「無視しないでくれる?」



無視して歩く私にイラついたのか男は私の左手をグイッと引っ張ってきた。



あぁ、今日の虫はしぶといやつだ…。



そう思った私は観念して俯いたまま足を止めた。



普通に考えていきなり声をかけてくるだけでも有り得ないのに女の子相手にこんな力で引っ張る男のどこに魅力を感じろと?
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