シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する

拉致

『じゃあ今日は外に出る予定はないんだよな?』

 日曜日、朝食も終えて三つ子以外の皆も出払ってしまってから眞白から電話があった。


「うん。今日は昨日買ってきた食材で常備菜とか作り置き出来るものを作っておこうと思ってるから」

 今日はわたしがこのシェアハウスに来て最初の日曜日。

 つまりは義父さんとの亀裂が入ったあの日から見ても最初の日曜日だ。


 義父さんは昨日も休日出勤してきたらしいけれど、流石に日曜日は休めと言われたらしく今日は大人しく家で休むらしい。

 ただ、気を紛らわせる仕事もなく家でただボーッとして休むとなると、ある不安が()ぎる。


 あの日、眞白にお別れの電話をして、ロープを注文しようとしていたという義父さん。

 あのときはお酒が入っていたってこともあるだろうけど……。

 でもお休みで一日家にいて、また変に思いつめてしまうかもしれない。

 そうなっても困るので、今日眞白は家で義父さんを見張っていたいんだそうだ。


『はぁ……俺が守りたいのは父さんじゃなくて義姉さんなんだけどな』

 と愚痴っていたけれど、放っておくわけにもいかないでしょう。

「仕方ないよ。ダメダメな義父さんは、お母さんがいない以上子供が支えなきゃ」

 苦笑しながらそう言うと、眞白は少し間を開けてフッと笑い声のような息を吐いた。
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