シュヴァルツ・アプフェル~黒果~魔女と呼ばれた総長はただ1人を所望する

雪白

 シェアハウスに戻ると珍しい光景が広がっていた。

 ソファーにはぐてーっと座り込む岸本くんと伊刈くんと三つ子の姿。

 リビングに入ってもキーボードの音が聞こえないのは、少し不思議な気分になった。


「あ、おかえりー」

 わたしたちに気づいて真っ先に声を掛けてくれたのは岸本くんだ。

「お疲れ様っす」

『お帰りっすー』

 それに伊刈くんと三つ子も続く。


「ただいま。……お前ら全部終わったからっていきなりぐーたらしすぎじゃないか?」

 颯介さんが挨拶を返しながら呆れる。

 でもそう言っている颯介さんもソファーに沈み込むように座る。


「でも分かります。終わったーってなったら力抜けますよね」

 と、眞白もソファーに座った。


 そんな彼らの前に立ったシロガネは、みんなに労わりの言葉を掛ける。

「みんな、ありがとな。お前らのおかげで目的を果たすことが出来た。感謝するよ」

 改まった様子にみんなは少し照れているみたいだった。


「良いですって」
「俺らもギンさんに助けられたし、恩返しですよ」
「そうそう。それに俺らみんなギンさんラブ仲間ですから」

「なんだそのラブ仲間って?」

 少し嫌そうに突っ込むシロガネにみんなが笑う。


 そんな様子を見てほっこりしたわたしは、結局夕飯を食べていないというシロガネたちに軽くつまめるものを作りにキッチンへ向かった。
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