fate
新年祝賀会

「う……苦し……」

親戚のおばさんに帯を強く締められて、息が止まった。


「あら、ごめんごめん。
これぐらいでいい?」

笑いながら緩めてくれたので、どうにか楽に息ができるようになった。

「うん、これぐらいがいいかな」


「でもすごいわよねー。
会社の集まりに振袖着てくなんて。

しかもNホテルでしょう?」


あたしは他の会社のことは知らないけど、確かにちょっとやりすぎな気もする。
ホテルでビュッフェ形式のパーティーって……。

しかも女性は着物推奨。
まぁ確かに華やかだとは思うけど。


「やっぱお母さんの振袖取っておいて良かったねー。
成人式だけじゃなくて、また出番が来て嬉しいわ」

お母さんは嬉しそうに笑った。


黒地に金やオレンジの模様が入った、ちょっと珍しい柄の振袖。

あたしはお母さんとおばさんの前で、くるくる回って見せた。

< 117 / 186 >

この作品をシェア

pagetop