fate

「笑えーーー!」

ふざけて脇腹をくすぐると、在原さんはくすぐり返してくる。


2人で笑いながら、軋むベッドを転げ回った。





ゲームセンターの駐車場に戻ると、雨は弱まっていた。

空は何もかも吸い込んでしまいそうなほど黒くて、星なんかひとつも見えない。



「じゃあ、帰るね…」

「うん。
ほんと気をつけて」

さっきの表情とは違う、いつもの優しい笑顔に安心する。


「うん」

キスをしてから、在原さんの車を降りる。



夜中だから、寝てしまわないように激しいロックのCDをかける。

手を振りながら車を発進させて、駐車場を出た。



高速道路の霧の中、このまま壁に突っ込んだら楽になるのかな……

なんてバカな考えを、必死に振り払いながら走った。


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