俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】

「早まるなよ。俺もつぐみを手放す気はない」


 そのひと言に救われる気持ちで目線を上げた。真剣な表情の千里さんは、「ただ」と重々しい声色に変えて続ける。


「和解できなかったら、つぐみもつらくなるんじゃないか? お前の家族を愛せない男が、このまま家族でいるんだぞ」


 その問いかけは否定できなかった。

 もちろん、自分の家族と愛する人の仲は円満であるのが一番だし、私も千里さんの家族と仲よくしたいと思う。きっと彼も同じように考えているからこそ悩んでいるのだろう。

 もしも父が自分に非があると認めなかったり、千里さんが父を許せなかったりしたら、私たちは心から幸せにはなれないかもしれない。やっと愛し合えたのに──。

 彼がくれた『愛してる』のひと言が、繰り返し頭の中に流れる。心も身体も結ばれたのに不安は残ったままで、やりきれない気持ちで一杯だった。


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