俺様パイロットは契約妻を容赦なく溺愛する【極上悪魔なスパダリシリーズ】

 宮路さんは瞬時にきりっとしたCAの姿になり、「ありがとうございます! すぐ行きます」と返した。

 天澤さんは私にほんの一瞬目線を向けたあと、なにも言わずに出入り口のほうへと歩き出した。その凛々しい背中を密かに目で追う。

 フライト前に会うのはこれが最後か……やっぱり夫婦感どころか同居人感もゼロだったわ。むしろ、瞳がすごく冷たかった気が。まだ一昨日のことが尾を引いているのかな。

 落ち込み始める私に対し、腰を上げた宮路さんは感激したように顔を輝かせている。


「天澤さん、私の顔と名前を覚えていてくれた……!」
「メイクが濃いからじゃない?」


 ズバッと言う美紅さんに、宮路さんはしかめっ面をして「荷物持ちにしてやる!」と吐き捨て、チーフパーサーのもとへ足早に向かっていった。

 美紅さんは一旦席を外す彼女を眺め、面白そうに考察し始める。


「どうなるか見物ね。こっぴどくフラれる可能性のほうが高いけど、旅先で一夜のアバンチュールもなくはないか。あんな調子でも玲香は仕事できてスタイルもいいし、ああいうのが好きな男も多いからね~」
「あ、あはは……」


 その言葉でさらに不安を煽られるも、ぎこちなく笑うしかなかった。これからの四日間、さらに悶々とした日々を過ごすことになりそうだ。


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