わがままシュガー


「……ダメじゃん、もう」



私の頭の中、佐藤のことばかり考えてる。

佐藤からのキスを拒めないし、アルコールのせいにして流されてしまいたいと思っていた。

元々、佐藤のことはよく知っていたこともあって、嫌悪感もないし……いや、付き合うとして、女の姿なのはちょっと悩むという所も、あるけれど。



でも、それでも、結局は受け入れてしまうんだろう。



佐藤蜜が、好きなんだ。

気付いてしまったこの気持ちは

きっともう、誤魔化せない。





学校の池の前、いつかの私が来ていたベンチと同じ場所に座って、空き時間を過ごしていた。

レポート提出に追われる鞠と佐藤に、図書館に寄るという緑。



緑と一緒に図書館……というのも考えたけれど、今日はなんだかいい天気だったから、外でのんびりとひなたぼっこでもしようと思って座っていた。



「今日は暖かいですなぁ」



聞き覚えのない男の人の声に、一瞬間が空いてから振り返る。

まさかとは思ったけれど、自分に話しかけているらしい、50代くらいのおじさん。



「……え、あ、はい」

「以前、ひょ…………蜜と、ここにいなかったかな?」



ひょ????
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