わがままシュガー


「親は蜜と一緒のその時に事故で亡くなったから、今この叔父さんの元で兄妹揃って世話になってる」



ということは、二人の引き取り先が理事長になった、ということなんだろうか。



「事故当時の俺は受験の年で、全然勉強なんてしてなくて……コネでここに入ったのは本当」

「そこは本当なのか」

「マジマジ。生意気の赤髪ヤンキーなんて誰が引き取ってくれんだっつうの。……それでも、こんなどうしようもない俺でも、叔父さんが兄妹揃って引き取ってくれてさ」



佐藤が理事長の方を向いて、微かに笑う。

悲しそうに、けれど、本当に感謝をしているような眼差しで。

理事長も優しい笑みで、返してくれる。



「氷も、突然家族を失ったもんだからね。当時は相当荒れて……それで、最初は蜜の入院費の為に高校をやめて働くなんて言い出してね。それはもう全力で止めたもんさ」

「え……それは佐藤、無茶が過ぎるって。高校中退する気だったの?」
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