獅子組と私
飛鳥が“もう一秒も椎那と放れたくない”と言い出し、引っ越すことになったのだ。

飛鳥の部屋に移動する。
「ここが、僕と椎那の部屋だよ!」
「うん…」
「椎那?どうしたの?」
「ほんとに私も住むの?」
「うん!もう放れたくないもん!」
「道彦くん達、ちゃんと納得してる?
飛鳥くんが言うから、しかたなくとかじゃない?」
椎那は飛鳥を見上げて、心配そうな顔で言った。

「だったら、聞いてみる?」

「大歓迎だよ!」
道彦が微笑んで言った。
「俺的には、女の子がいてくれて幸せ~!」
滉二も声を揃えて言った。
「しかも、椎那ちゃん可愛いし!」
一朗も微笑んだ。

「俺達も、大歓迎ですよ!」
丈治や永悟も、微笑み言った。

その日、歓迎パーティーと称して椎那の歓迎会が行われた。
そこには道彦の彼女の石蔵 清美(いしくら きよみ)や、二年前に亡くなった獅子組の元・総長 本木 哲士(もとき てつし)の彼女の刈田 琴子(かりた ことこ)も来ていた。

「「「乾ー杯~!!!」」」
グラスの音が鳴り響いて、楽しくパーティーが進む。

「キングの彼女がどんな子かと思って楽しみにしてたんだけど、本当に三十路ですか?」
「はい。恥ずかしながら…////」
「えー、見えなーい!!」
清美が不思議そうに言った。

「私の方が年上に見える…(笑)」
琴子が笑って言った。

「確かに(笑)!」
「琴子は老け顔だしな!」
清美と道彦が笑っている。

「酷いなぁ(笑)」
琴子が頬を膨らませている。
「フフ…」
「あー、椎那さんまで!!酷ーい!」
「あ、ごめんなさい!そうじゃなくて、みんな仲良いんだなと思って!!羨ましいなぁ!
私…ずっと、一人だったから……」
つい、暗くなってしまった椎那。

「椎那?」
「あ!ごめんね!雰囲気、悪くしちゃった!
飲もう!」
そんな椎那の顔を覗き込む、飛鳥。
飛鳥の綺麗な目が、切なく揺れていた。
そんな飛鳥にニコッと微笑んだ、椎那。

「椎那ちゃんも、もう…仲間だよ!」
「え?滉二くん?」
「うん、俺達の仲間!」
「一朗くん…」

「飛鳥の大切な、クイーンだよ!」
「そうね!キングの彼女だし!」
「私も、もっと仲良くなりたーい!」
「道彦くん、清美ちゃん、琴子ちゃんも。
ありがとう!」
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