獅子組と私
「え?綺麗になりたい?」
「椎那、これ以上…綺麗になってどうするの?」
不思議そうに椎那を見る、清美と琴子。

「キング、かなり椎那にベタ惚れなんだよ!」
「椎那にはわからないだろうけど、椎那に出逢うまでキングの女性への扱い、酷かったんだから!」

「だよねー!私は道彦の彼女で、琴子は哲士の彼女だから比較的“普通”に話してくれてたけど、それ以外の女性には嫌悪感丸出しだったし」
「正直、椎那へのキングの甘々な態度見て“かなり”退いたんだから!
あ!それに、キング達の屋敷も特定の人しか入れないんだよ?」
二人は身を乗り出すようにして、凄い勢いで言う。

「そ、そうなんだ……」

「でも、なんでなの?これ以上綺麗になりたいなんて……」
「もっと自信をつけたいと言うか…
お洒落とかして少しでも飛鳥くんにつり合うようになりたいなって!
ほら、10歳も違うから清美ちゃん達に聞くのが一番かなって!二人は飛鳥くんと同い年だし」
「お洒落かぁ…!だったら、琴子がいいんじゃないかな?」

「うーん、そうだなぁ…!
じゃあ、コーディネートさせてよ!」
「うん!よろしくね!」

レジへ向かい、椎那が財布を出しながら言う。
「あ!奢るよ?今日は私が、誘ったんだし!」
「椎那!!」
「へ!?」
「そうゆうの、やめよって言ったじゃん!怒るよ?」
「え……でも、私は働いてるし…」

「私達は、友達!
お金で繋がってるみたいで嫌!!」

「あ、そうだよね!じゃあ…別々に払います!」
そう、椎那は店員に伝えたのだった。

そして街へ━━━━━━━
「このショップは、上から下まで揃うしリーズナブルだから、私のお気に入りなの!」
そう言って、楽しそうに選び出す琴子。

「椎那!次、これねー!」
「うん」
「……うーん、なーんか違う……
次!!」
「うん」
「お!これ、いいんじゃない?」
「そうね!」
琴子が選び、清美が椎那に渡して着せる。
流れ作業のように着替え、服を決めていく。

「椎那、靴はこれね!」
「うん」
「よし!いいんじゃない?」
「うん!さすが、琴子!椎那、可愛いよ!」
「ほんと?ありがとう!じゃあ…買ってくるね!」

「え?まだだよ!椎那」
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