Szeretlek
出逢いさえも忘れていたのに
尚と初めて出逢った日のことは、本音をいうと、全く覚えていない。

父の会社でバイトをしていた学生の一人…ただそれだけのこと。

私の父は、いくつかの会社の経営者である。

ひとつひとつの会社の規模はさほど大きくないが、いくつも同時進行しているので、ハッキリ言ってしまえば、我が家はかなり裕福だ。

そのせいもあり、私は大学を出たあとも就職せずに、「仕事」と言っても、お金にならないボランティアや趣味でしかない勉強ばかりしている、自称高等遊民。

初対面こそ覚えていないものの、二度目、三度目の再会なら、鮮明に覚えている。
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