強引でロマンチストなホテル王に溺愛されました。
 でも、そんな私の不安はケントの言葉で杞憂(きゆう)に終わった。

「俺の代わりをカテリーナがしてくれることになった。悪いが、今日の日程はカテリーナと一緒に頼む」

「カテリーナさんと?」

 少し驚いたけれど、カテリーナさんなら不安はない。


 彼女とケントが一緒だとモヤモヤするけれど、カテリーナさんだけならそんな風にはならないだろう。
 それに、カテリーナさんのこと自体は嫌いじゃない。

 なんだかんだ気遣ってくれているし。


 だから何の憂いもなく了解の意思を伝えた。

「分かりました。でもケントはカテリーナさんがいなくて大丈夫なんですか?」

 秘書のカテリーナさんがいた方が色々と助かるんじゃないだろうか?
 そう思っての言葉だった。


「まあ、確かにいれば助かることはあるが……。どうしても必要って程でもないし、今回は俺が行けば事足りるからな」

「そうですか……。じゃあ、頑張ってきてくださいね」

 問題ないということだったので、甘えさせてもらうことにした。


 やっぱり異国で一人行動するのは不安が大きかったし。


 そうして二人の荷物をまとめ終えロビーに行くと、すでにカテリーナさんがいた。

「じゃあ、依子を頼むぞ?」
「分かってるわ。そっちこそお願いね」

 そんな会話を済ませ、ケントは私に向き直る。
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