強引でロマンチストなホテル王に溺愛されました。
 ホテルの客室係という何気に体力を使う仕事をしている私だけれど、これがあと六日も続くのかと思うと体力が持つのか少し自信がない。

 まあ今は異国の文化に触れてテンションが上がっているので大丈夫だけれど。


 特にこのローマは凄い。
 街そのものが遺跡と言っても良いんじゃなかな?


 歩道のタイルに使われている石には普通にアンモナイトの化石が入っていたり。

 普通に歩道がある場所に穴があると思ったら、「遺跡の発掘してるんですよ~」という添乗員さんの声に穴を二度見してしまったり。


 とにかく自国との違いに驚くことばかりだ。

 ちょっと大変そうだけれど、来て良かったな。
 そう思っていたんだけれど、順路の最後の方に来た時には一時的とはいえその感情も吹き飛んだ。


 新教皇を決めるコンクラーヴェの会場としても有名なシスティーナ礼拝堂。
 映画で見たことはあるけれど、この素晴らしく荘厳な空間がまさかこんなことになっているなんて。


 人、人、人!

 人込みなんて比じゃない。

 会場中隙間なく人が密集していた。


 事前に添乗員さんから「人が多いので、とりあえず反対側につくまで足を止めないでください」とか、「スリに気を付けてください」とか聞いていたけれど……。
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