強引でロマンチストなホテル王に溺愛されました。
 ……いや、むしろだからこそ抱きたいと思ったのかも知れない。

 慣れないながらも、指示通り口をあけて小さな舌を出す姿は欲情を誘ったし。
 強引に抱いているのに、昨日教えたことを健気に実行しようとしている様はただひたすら可愛かった。


 抵抗の声は聞きたくなくて、何度も可愛らしい唇を塞いだ。

 俺を呼ぶ声と、俺が与えた快感に喘ぐ嬌声のみをその唇から紡がせた。

 それがまた俺の中に宿った情炎を燃え盛らせる。


 何度もイかせて、その度に俺は耐えた。

 俺が果ててしまったら、この繋がりが消えてしまいそうで。


 だが、いつまでも耐え続けることなど無理な話。

 最後は共に絶頂を迎えて果てた。


 心地よさに、元々朝が弱い事もあって微睡(まどろみ)始める。
 処理を終え、依子の吸い付くような肌に触れると安心してしまって、そのまま眠りに落ちてしまった。


 そこまで思い出し、失敗したなと思う。

 どうしてしっかり抱き込んでおかなかったのか。
 そうしていれば、きっと自分は目が覚めるまで彼女を離しはしなかっただろうに。

 そうしていなかったから、まんまと依子は俺の腕から抜け出しいなくなってしまった。


 まあ、だがそれは仕方ない事だ。

 彼女はきっと仕事に出ているんだろう。
 またすぐに会える。
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