神、恋に落ちる
後日、命と白羽はデートに出掛けていた。

試着室を開け、命に見せる。
「命さん、どうですか?」
「可愛い~」

「じゃあ、これはどうですか?」
「うん!可愛い!」

「………これは?」
「可愛い~!!」

「………」
「白羽?」
「……命さん、ちゃんと見てます?」
「うん!もちろん!」
「だって…なんか……」
「ん?」
「どうでもいいみたいに聞こえます……」

「え?なんで?」
「だって全部、可愛いしか言わないから…」
「だって可愛いんだもん!」
「………」
白羽は無言で、試着室を閉め着替えて出てきた。

「え?え?白羽!?」
「………」
「白羽!?怒ってるの?」

「だって、全部可愛いなんてあり得ません!
ちゃんと見て、選んでほしいです。命さんの好みの格好がしたいです」

「そんなこと言われても、全部可愛いよ?ほんとに。
…………だから、全部買っちゃおう!」
「え?ぜ、全部!!?」
「うん!
…………これ、全部俺の家に届けといて!」
店員にごそっと服を渡すと、白羽の腰を抱いてショップを出た命だった。

「白羽、次どこ行く?」
「あ、あの…」
「ん?なんか食べる?」
「ごめんなさい、命さん」
「ん?なんで、謝るの?」
「だって、全部買うだなんて……」

「俺、毎日楽しいんだよね~!」
「え?」
「大好きな白羽と、毎日こんな風に幸せな時間を過ごせるなんて!こうゆう、普通のこと!憧れてたんだぁ!
天使ちゃんと一度デートしたことあるんだけど、あくまでも一徹の代わりだったし。
だからなんでもしてあげたい!白羽の為に」

「由那とデートしたことあるんですか?」

「え……」
「由那とデート……」
「白羽?」
「どんなところに行ったんですか?」
「え?」
「どんな話して……」
「白…羽?」
「何を見て……」
「白……」
「由那と……」
白羽の目に涙が浮かんでいた。

「白羽!?泣かないで?ごめんね…!?
一徹がどうしても仕事で家をあけなきゃいけなくて、かといって天使ちゃんを家に一人にはできないからって!!それで━━━━━」
慌てたように命は白羽の肩を持ち、顔を覗き込んで言った。

「わかってます!わかってるんです!
私と出逢う前だし、由那のこと命さんは好きだったわけだし」

「………………天使ちゃんのことは、好きだったわけじゃないよ」

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