神、恋に落ちる
桂里奈が中に入ると、10人程の男達が酒や煙草で楽しんでいた。
誰もがイケメンで、桂里奈は見惚れていた。
まるでホストクラブのようだ。
「……/////」

「みんな~桂里奈ちゃん来たよぉ!」

「遅いよ!」
「やっと来たー!」
「おっ!結構いい女!」
「良かったぁ!ヤるなら、それなりの女がいいもんね!」
「だよなー!いくら神の頼みでも……」
「てか!誰でも良くね?」
「まぁね~」

「じゃあ…桂里奈ちゃん、楽しもうね!」
男が桂里奈の肩に手を置き、顔を覗き込んだ。

「これは、何ですか?」
「んーまぁ、座りなよ!」

「は、はい////」
桂里奈は男達の間に座る。
隣にいた男が肩を組んできた。

「桂里奈ちゃんって、美人だねー!」
「い、いえ////」
「何飲む~?」
「何でも////」
「シャンパンでいい?」
「はい///」

「「「はーい!じゃあ、乾杯ーー!!」」」
みんな、シャンパンを片手に乾杯する。

穏やかな時間が進んでいく。

「━━━━━へぇー今の彼氏、そんな酷いんだね。
そんな彼氏、振っちゃったら?」
「そうだよ、振っちゃえ!」
「そうかなぁ~」
「桂里奈ちゃんには、次の男すぐ見つかるよ!」
「フフ…ありがとう!」
男達の心地よい言葉と酒が入り、どんどん気分が良くなっていく桂里奈。

そんな桂里奈の姿に、男達はニヤリと含み笑いをした。そしてお互い、目伏せし合う。

「桂里奈ちゃん」
「ん?」
「そろそろ、いい?」

「え?」
「え?って、またまたぁー!」
「今日は、俺達の相手してくれんでしょ?」
「は?相手?」

「そうだよ?俺達の精力の処理してくれんでしょ?」
今の今まで穏やかで優しかった男達が、途端に恐ろしく映る。

「は?何それ…!?」
「君、神の大切な人にかなり酷いことしたんだってね?」
「え……?」
「てか、本当に自分のこといい女だと思ってる?」
「あの……」
「君の彼氏も、君が“顔だけ”がいいから付き合ったって言ってたよ」
「え?」
「性格は、最悪なんだってね!
傲慢で自己中、ワガママ……後他にもなんか言ってたなぁ…忘れたけど!」
「とにかく、最低なんだって!かなり酷評してたよ、彼氏」

「え?嘘……」
「ほんとだよ?本人に聞いてみたら?」
桂里奈はすぐにスマホを取り出す。

「え……」
画面に【もう、二度と連絡してくんな!】の言葉を最後に、完全にブロックされていた。
電話をかけてみるが、着信拒否。

「嘘でしょ……?」
桂里奈は今から起こる地獄に、顔を歪めた。
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