神、恋に落ちる
「一徹?」
『命!お前、白羽と出逢ってからスマホ出るの遅いぞ!!』
「ごめんね~」
『……ったく…で!今日だが、少し早く来てほしい。
頼みがあるんだ』
「うん、わかったぁ!」

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今日は命の所有するクラブ一帯のオーナーの会議だ。

ホテルの会議室を借り行う。
エントランスに入ると、タタタッと由那が駆け寄ってきた。
「白羽!!」
「由那!」
「久しぶり!」
微笑み合う二人。

一徹も微笑ましく二人を見ていた。

しかし━━━━━━
命は違った。
グッと白羽を引き寄せ、腕の中に抱き締めた。
「天使ちゃん、やめて……!
白羽を取らないで……!」

「え……?命さん?」
「命?」
一徹と由那が、不思議そうに命を見る。

「命さ…苦し…です…」
「うん…でも、我慢して!嫉妬に埋もれて苦しいの……」

「命……お前…」
一徹は切なそうに顔を歪めた。

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「命!!いい加減にしろ!!
会議は由那と白羽は参加できないっつただろ!?」
「今日は嫌なの!!
白羽と離れたら、死ぬ!!」

いざ、会議室に行こうとして命が駄々をこねだしたのだ。
「命さん、お部屋で待ってますから!」
白羽も命の顔を覗き込み、頭を撫でる。

「命さん、大丈夫ですよ!
部屋から絶対出ないし、誰も入れません!
私と白羽二人で待ってますから!」
由那も微笑み言った。

「…………わかった…」

漸く落ち着き、会場に入った命だった。


「お疲れ様です!オーナー!」
「あぁ、麻人。
こいつが、神だ」
「安居 麻人です!初めまして!」

「これ、誰?」
「頼みがあるっつたろ?麻人を、お前の事務所で面倒みてやってほしい」
「は?なんで?」
「俺の店に、ホスト希望で来たのはいいが…全くダメでな。接客向きじゃないんだ、こいつ。
かといって、いい奴だしこのままほっとけなくて……だから、命に頼めないかと思って!
真面目な奴だから、つかえると思う」

「ふーん」
命は麻人を見定めるように見た。

「頼む、命」
「はぁー、一徹の頼みならしかたがないけど……」
「ほんとか!?サンキュ!」
「でも、間違ったら…問答無用で、地獄行きだよ?」

「わかってる」
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