神、恋に落ちる
スマホを握りしめ、廊下に出た白羽。

タップして、由那に電話をかけた。
長いコール音の後………

『命!!いい加減にしろ!?
由那にかけるなっつただろ!?』
一徹が出て、怒鳴られた。

「あ、ご、ごめんなさい!白羽です!」

『は?白羽?
どうした?』
「あ、あの、私……」

『ん?白羽?何かあったのか?』

「私…どうしたら……」

『命から、離れたいの?』

「え…?」

『悪いが、俺では……いや、誰にも無理なんだ。
命を止められる人間は、この世に存在しない…!』

「わかってます。
大丈夫ですよ。離れたいなんて思ってません。
ただ……怖くて……」

『何が怖い?
命が残忍な奴だから?
征服者だから?
それとも…………命から放れられない、自分?』

「あ…それは……」

『俺が、拐ってやろうか?』

「え…!?」

『俺なら、命から放してあげられるぞ!
どうする?
その代わり、一生……命に会えない、外に出られない』

「それは、嫌です!」

『何が嫌?
命に会えないこと?
外に出られないこと?
今、嫌って即答した時、何を考えてた?』

「…………命さんに会えなくなることです」

『だろ?
答え、決まってるじゃねぇか!
どんなに怖くても、お前はもう……命から放れられない。大丈夫。苦しいなら、またこうやって話を聞いてやる。由那もいるから!』

「はい…ありがとうございます…!」

『あぁ!でも良かった』

「え?」

『正直、お前は正気を保てないと思ってたから。
思ったより強くて、びっくりしてる。
白羽が失くならなくて良かった……!』

「え?それどうゆう……」

『いや、何もない……』

通話を切り、首を傾げる白羽。
「失くなる?
私が失くなるって、何?」


「意識じゃない?白羽、すぐ失神するし!」
「え━━━━!!?」
声のする方を振り返ると、腕を組んで壁に寄りかかった命がいた。

「白羽、そのお手てに持ってるのは何?」
「あ、命さんのスマホです」
「そうだねー
誰に電話してたの?
……………てか!俺との約束、覚えてる?」
「え?」

「俺から勝手に放れないで!って言ったよね?
白羽は、お仕置きされたいの?
白羽って、Mなの?」
< 92 / 100 >

この作品をシェア

pagetop