クラスの男子が全員、元カレだった件
「で、和泉ちゃん」と青山碧は相変わらず、私のことを「和泉ちゃん」と呼んだ。
「誕生日の私に、何か渡すものとかないのかな?」
白々しい。驚くほどの白々しさだ。
なんて、あっぱれ。青山碧、あっぱれである。
でも、なんとなく予想はしていた。どうせこんな流れになるんじゃないかと。
だから、私もちゃんと用意してきたのだ。
「はい、これ、ハピバ」
そう言って渡した紙袋を、青山碧は「おー」と、リコーダーの「ド」の音を出すときみたいなリアクションをして、受け取った。
「結構大きめの箱だね。中身は……何だろ?」
「あ、今開けないで」と私は手で制した。
「家に帰ってからのお楽しみってことで」
なんとなく、今開けて中身を見られると、怒られる気がした。なんとなく。
「ふーん、そっか」と青山碧は何を理解したのか、首を縦に2回、うんうんと頷いて答えた。
「まあ、プレゼントは逃げないもんね。あー、開けるの楽しみ! 私の親友、小泉和泉たんは一体、何をくれたのか」
「ちゃん」から「たん」に昇格。いや、降格? どっちだっていい。
今私が考えることは、しばらく学校を休んだ方が賢明かどうか、だ。