クラスの男子が全員、元カレだった件




5時間目と6時間目の休み時間、青山碧は、3-Cの教室がある東棟からわざわざ離れた西棟まである人物を呼び出した。


ある人物、それは剣道部員であり、私の元カレNo.12でもある重松茂(しげまつしげる)だった。


重松茂という男を一言で表すなら、「五里霧中」。いや、「優柔不断」だろうか。


とにかく迷いっぱなしな男だった。


例えば、付き合っていた頃、放課後の帰り道に私は重松茂にこんな質問をした。


「もし、明日世界が終わるなら何がしたい?」


何気なく聞いただけだったのだが、この男、重松茂はあごに手を当て、


「うーん、難しい」


とすっかりお決まりになったセリフを言って、迷い、悩み、苦しみ、結局。


「ごめん、やっぱりわからない」


この言葉を聞き出すのに、日付が変わる寸前までかかり、私は家族から危うく捜索願を出されるところだったのだから、よっぽどだと思う。



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