【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「わかりました」
 父親からそう言われたため、アイリーンは文官へ返事をする。

「とても光栄です。ですが、このような恰好で失礼に当たらないでしょうか?」
 このような恰好とは、文官としての公務の恰好。ローブの下もお茶会に適した衣装とは言えない。

「はい。アイリーン嬢が公務でこちらを訪れているのは、重々承知しております。ですから、気になさらないように、とのことです。帰りは、こちらでお送りしますので、その辺も心配なさらないように、と」

 つまり、断れない、ということか。まあ、断るつもりもないし、断れるとも思っていなかったが。
 今の内容を父親に伝え直すと、彼は満足そうな笑みを浮かべていた。
「では、私は先に帰るよ」
 父親の背中を見送り、アイリーンはその文官の後ろをついて歩く。案内された場所はサロンと思われるところ。

「ユミエーラ様、アイリーン嬢をお連れしました」

「ご苦労様、あなたは下がってちょうだい」

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