【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 ユミエーラはコクリとお茶を一口飲んでから、それをテーブルの上に戻した。

「何の相談かと思えば。あなたはまだ正式な騎士ではありません」

「ですが、自分の身は自分で守れます」

「護衛がいては困るようなことがあるのですか?」
 その質問に即答できないイブライム。じっと母親の顔を見つめる。ユミエーラも負けずに息子の目を見る。

「あり、ます」
 とだけイブライムは答える。

「あら。護衛がいて助かることはあっても、困るようなことは無いと思っていたのですが。困るようなこととは具体的にはどのようなことかしら?」

 ユミエーラは右ひじをゆっくりと曲げて、その先の手を顎に当てた。イブライムはじっと母親の顔を見ている。ふと、目を伏せた。

「……が、できません」

「え? 何かしら? よく聞こえないわ」

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