彷徨う私は闇夜の花に囚われて



私を挟んで無言の睨み合いを始める二人。


ぴりつく空気に涙が滲む。


……勉強をするために早く来ただけなのに、どうしてこんなことになっちゃったんだろう。


人間関係って、めんど……こほんっ、難しいな。


「後ろ」

「なに?……げっ」


樹くんの言葉にすみれちゃんの後ろへ目を向けると、そこには怒り顔の数学の先生がこちらへ向かって一直線に歩いていて。


「草野。先週の課題提出はどうなってる?今すぐ職員室に来なさい」

「……うっ」

「ったく、金曜日の放課後にちゃんと残っていれば、朝っぱらから怒られることもなかったのにな」

「で、でも大切な用事があって……」

「言い訳は無用。もしそうであったとしても無言でばっくれる理由にはならない」


すみれちゃんは無事に先生に連行されていった。


二人の声が遠ざかっていく。


すみれちゃんが言ってた用事って私とスイーツを食べにいくこと、だよね。


先生から放課後に残るように言われてたのに、それを放って私のところに来たんだ……なんだか複雑な気持ち。


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