彷徨う私は闇夜の花に囚われて



だから、紅バラさんならなにか知ってるだろうって何気なく聞いてみただけだったのに。


「……は?そいつ、誰?」


ドスの効いた声が耳に刺さって、びくりと肩が跳ねた。


殺意すら感じるその声に穏やかさは皆無で。


「そいつとのトークをスクショして俺に送って」


とげとげとした物言いが、私の心に刺さる。


……私にまで当たりが強い。


それが『ましろの軽率な行動のせいでめんどくさいことになってる』って責められているような気がして、泣きたくなった。


でも、紅バラさんは私の心を見透かすのが大得意だから。


「ましろを責めてるわけじゃないんだよ。俺がガキだから嫉妬してるだけ。心が狭くてごめんね」


すぐに自分の本心を曝け出し、謝ってくれて……膨らみかけた被害妄想が急速にしぼんでいき、最後には跡形もなく消え去る。


私の気持ちを察知したり、そこに一番効果がある言葉を添えてくれる紅バラさんはやっぱり魔法使いなのかもしれないと思った。


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