彷徨う私は闇夜の花に囚われて



そわそわと心が騒ぎ出し、スマホを持つ手が武者震い(むしゃぶるい)を起こす。


リクエストの承認は下りるかな。


メッセージとか送られてきたりするのかな。


このアカウントの持ち主は、本当に紅バラさんなのかな……。


妙に感情が高ぶった私は目を閉じても眠ることができず、仕方なくスマホと向き合って眠気が来るのを待つ。


お気に入りのパズルゲームをいくつもクリアして。


SNSを眺めて。


ゲームをして。


SNSを眺めて。


時間をかけて充電を3分の1まで減らした。


「……眩しい」


日が昇るのが早い夏。


寝る前にシャワーを浴びようと準備を始めた頃、スマホの通知音がカーテンをすり抜けた光の粒とかち合う。


数秒後に、もう一度。


2回目はパンジーさんからの承認の通知音で。



……紅バラさんから日課の『おはよう』メッセージがきた数秒後のことだった。




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