彷徨う私は闇夜の花に囚われて



いつも丁寧過ぎるくらい優しく扱ってくれて。


宣言通り、一番に支えてくれて。


思い出だってたくさん上書きしてくれた。


紅バラさんにとっての私への時間はそれが全てだった。


だから、すみれちゃんとまるっきり同じセリフが飛んできてもおかしくない……のに。


「どうして……?俺のこと嫌いになった?俺、なにかした……?」


私を責めようとする姿勢は少しもなく、聞こえてきた声は弱々しかった。


喉が震えているのがわかって、私の喉までもが引きつって声を出すのが躊躇われる。


きっと、私への接し方を思い返しながら悪いところがあったかを探っているであろう紅バラさん。


だけど、そうじゃない。


そこを探しても見つかるわけがないんだよ……。


「嫌い、というよりは怖いです」

「……俺の愛が重いから?」

「間違いではありませんけど……。正確には、愛が重くて周りを攻撃しているからです」

「……そっか、知ってたんだ」


潔く観念する紅バラさん。


その姿は紅バラさんらしいとも言える。


嘘もつかなければ言い訳もしない。


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