彷徨う私は闇夜の花に囚われて



……ほんとに今更過ぎて気が抜ける。


でも、美紅を不安にさせてしまうくらい言葉にしなかった昔の俺が悪い。


愛しきれなかった俺が悪いんだ。


1回目は自分の気持ちを隠し過ぎて。


2回目は自分の気持ちを出し過ぎて。


極端にしかできずに、振られまくってるから。


……今度は失敗しないように気をつけないと。


「ずっと好きだった。今も好き。これからも好き」

「……好きって言いすぎだよ」

「うん。しばらく言わない」

「それは嫌かも……」


しゅんと、ただでさえ小さい身体を縮こまらせて落ち込む美紅。


滅茶苦茶に甘やかしたい欲をぎゅうぎゅうに下の方へ押し込んで、足でダンダンッと踏みつけて、そこへどっかりと腰を下ろす。


数秒間、頭の中でイメージすることで感情を抑え、理性を保った。


「なんか辛そうだけど……調子悪い?」


いいえ、本能を押し殺しているだけです。


強いて言うなら、美紅が可愛すぎて辛い。


……と、言えるわけもない俺は、口を閉ざしたまま首を横に振る。


< 196 / 204 >

この作品をシェア

pagetop