彷徨う私は闇夜の花に囚われて



紅バラさんは私の誘いを断ったことがない。


平日であろうと休日であろうと、昼だろうと夜だろうと。


よくメッセージで私の相手をしてくれる。


そういうところがすみれちゃんに似ていて無条件の優しさを私にくれるんだけれど……私はなにも返せなくて悲しくなるの。


「私も紅バラさんを支えられたらいいのに」


寝てしまったかなって思ったら言葉が漏れ出た。と、そのとき。



「―――俺もましろを支えたいって……一番に支えたいって思ってる」



低音よりも少し高い心地の良い声が、私の鼓膜を優しく揺らした。


落ち着いていたはずの心臓は再び鼓動を早め、脳内はパニックになる。



……今、どこから声が聞こえた?


私がしているイヤホンから?つまりはこの端末が受信した音?


ってことは、今聞こえたのは紅バラさんの声ってこと……?


「ましろ、聞こえてる?」

「は、はいっ。かっこいい声がちゃんと聞こえてます!」

「……そう。良かった」


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