約束の指にキスして。
『あ、ねぇ。二人とも、朝私のこと迎えに来なくていいよ??帰りも。』

突然発した瑛梨の言葉。

俺と健司は、訳が分からずとまどった。
だって、俺達が居なきゃ、歩けない。俺達が居なきゃなにもできない。俺達が守ってやらなきゃ…簡単に傷ついてしまう瑛梨が。

俺達を要らないって?

脆い彼女が、潤んだ目で俺たちを見上げる。

最近、赤い小さな唇から繰り出される、言葉。

『匡ちゃん。』

俺たちは…その言葉が瑛梨の口からでるたび、苛立って仕方ないんだ。

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