約束の指にキスして。
『匡ちゃんそれどうしたの!?』

『なんでも…。な?キッペー…』

『何でもなくないよ!どうしたのそれ…』

痛そうに顔を歪める匡ちゃん。
匡ちゃんの右の親指からは、血が滴っている。

私は手当てをしながら、こっそりと匡ちゃんの顔を盗み見た。

心ここにあらずって感じで、ボーッとしている。
どうしたのか。
いつもニコニコの匡ちゃんが。


アタシは、分かるはずもなかった。
この時、匡ちゃんが何を考えていたのかなんて。
実は匡ちゃんって、アタシの知ってる匡ちゃんとは全然違うんだって事なんか、知るよしもなかった。

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