雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
「長井さん、今日から宜しくお願いします」
長井さんは、がっちりとした体格で、一見話かけにくく見えるけど、とても気さくで面倒見がいい。
「おっ、朝比奈か。今日から宜しくな」
そう、私は、営業チームの先輩が結婚退職されたのもあって、その代わりと、より業務の流れを理解できるようにと営業チームの一員になった。
基本、今までと業務内容は変わらないけど、より現場の声に近くなるからとても嬉しい。
ただ、憂鬱なのは、あの苦手な神崎さんと同じチームだということだった。
神崎さんと同じチームって・・・
最悪だ。なるべく関わらないようにしよう。

そう思っていると
「神崎、ちょっと」
神崎さんが呼ばれて、私の横に並んだ。
「朝比奈の指導係として、色々教えてあげて」
「えっ?俺がですか?」
「さっきも本部長からあったように、先輩として頼むよ」
神崎さんは、とても迷惑そうな顔をしていた。
こっちだって嫌ですよ!
そう言ってやりたかったけど、教えて貰う身だ。
「神崎さん、宜しくお願いします」
「あぁ、足引っ張るなよ」
神崎さんは、一瞬私の目を見たけど、表情を変えずに、直ぐ長井さんに向かって
「長井さん、俺の横の席空いてるから、朝比奈、席替えさせますよ。教えやすいし、それにいちいち移動するの時間の無駄ですから」
時間の無駄って・・・
「あぁ、任せるよ。朝比奈もその方がいいだろ?」
< 3 / 96 >

この作品をシェア

pagetop