雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
ほぼ口パクで、私しかわからないように言われた言葉と、神崎さんが優しい目で微笑むのを見て、私の顔は一気に赤くなり、心臓が騒がしくどきどきしていた。
「神崎さん、何言うんですか」
「しっ!水森が見てるから」
私は固まって、神崎さんを見つめていた。
「よし、もういいよ」
そういうといつもの神崎さんに戻って、黙々と仕事を始めた。
私は、パソコンの画面を見て、ファイルを開いては閉じて、アプリを開けては、閉じてと、仕事に集中出来なかった。
神崎さんはどうってことないだろうけど、今の私にとって、さっきの微笑みと言葉は、あまりのギャップに胸のときめきが止まらない。

その日から水森くんは、私と話さなくなった。
これで良かった。
神崎さんには、なんとも思われてないけど、私は本当に、神崎さんの事が好きになったんだから。

研修が終わってからも、神崎さんは色々な仕事を手伝わせてくれた。
分からないところを教えてもらったりするだけでなく、思い切って、資料の内容を提案すると
「いいよ、じゃあ、それで作ってみて」
そう言って、私が作った後も
「ここは、もっと大きめにインパクト与えて、ここはグラフ化した方が分かりやすいかな」
神崎さんはどんなに忙しくても、手を止めて話を聞いてくれた。
仕事は毎日充実していて楽しい。
でも、仮彼のことは・・・
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