雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
神崎さんが作成する資料は、シンプルで分かりやすい。
言葉は乱暴だけど、私のこと、考えてくれているのがよく分かった。

次の日は、神崎さんから依頼された案件の入力業務を始めた。
その後、入力業務だけでなく、客先用の簡単な資料作りも手伝わせてくれた。
「これなら簡単だから」
神崎さんには簡単な資料作りも、私にとっては初めてなことばかりで、固まっていると
「お前はこの2年、何を教えてもらってたんだ?」
そう言いながらも、パワポやワード、エクセルの関数や使い方を教えてくれた。
神崎さんに教えてもらっていると、私はただ、システムの決まったフォームに入力したり、言われたことだけを毎日こなしていたように思う。
「分からないことは直ぐ聞けよ」
ぶっきらぼうながらも、丁寧に教えてくれて、分からないことがあれば、理解できるまで説明してくれた。
今まで管理チームでやってきた事が、色々繋がってくる。
そうとは言え、私の神崎さんへの緊張感は変らず、毎日が過ぎていった。

数日後、仕事が終わり、駅に向かっている時、水森くんが声を掛けてきた。
「朝比奈、お疲れ様。どう?神崎さんとは」
「水森くん、お疲れ様。ずっと緊張していたから疲れたよ。水森くんも同じチームだね。宜しくね」
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