惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
18:惚れ薬の真相
 ルーカスの言葉の意味が理解出来ず、しばらく沈黙が続いた。

 ・・・私、いま告白したよね・・・?
 で?惚れ薬の効果が切れてなかったですって?
 惚れ薬を飲んだのはルーカスの方でしょ・・・?
 それがなんで私に惚れ薬の効果が残ってるみたいな言い方するの?

 抱きしめられていたルーカスの手から解放され、私はジッとルーカスの顔を見るが、なにやら複雑そうな表情をしている。

 ・・・まさか・・・?

「・・・ルーカス・・・もしかして・・・私に惚れ薬を飲ませたの?」

「・・・いや?なぜそんな事をする必要がある?俺は最初からエリーゼの事が好きなのに・・・」

 ええ、惚れ薬を飲んで私を好きになってるもんね・・・。そんな必要ないわね。

 ・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・ん?
 いやいや、今のルーカスの話おかしくない?
 ルーカスが最初から私の事好きなら、やっぱり惚れ薬を飲むんじゃなくて飲ませる側のはずでしょ?

 ・・・・・・って・・・あれ・・・?
 最初から私の事が・・・好き・・・?

「ルーカス、ユーリの事が好きだったんじゃないの?」

 私の問いかけに、ルーカスは目が点になり固まった。

「・・・・・・は?違う!俺が好きなのはエリーゼ!君だ!!」

 再び放たれたルーカスの告白に、ドキッと心臓が高鳴った。
 ま・・・待って待って・・・ちょっと落ち着こうか・・・。

「えっと・・・だって村を出る時にユーリに手紙を送ったんでしょ?」

「なっ・・・!?」

 ルーカスは信じられない様な表情を浮かべると、私にグイッと顔を近づけ、無実を訴えるかのように切迫した様子で口を開いた。

「なんでそんな事になってるんだ!?俺が手紙を渡したかった相手はエリーゼだ!俺が村を出て首都へ行ったのも、全部エリーゼのためだったんだ・・・。エリーゼが首都で暮らしたいと言っていたから・・・」

 え・・・?あ・・・。
 確かに、ルーカスの前で言ったことがある。
 私が首都で暮らしたいって言ってたら、ユーリに首都の貴族と結婚しないといけないって言われて・・・。
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