愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
「さっきのことはなかった事にするから。本当に好きになった人としなさい」
「……そっか、春香にとってキスはそういう事なんだね」
「私にとってというより、大多数の人がそういうものなんだと思う」
「うん、分かった。……でもさ」
ユキは私の肩にポンと手を置き、私を真面目な表情で見下ろす。
ユキはどんな時も、大体薄い笑みを浮かべている時が多い。
こんな表情をするときは、決まって何か大切なことを伝えようとする時だ。
「僕からキスしたいと思ってしたのは、春香が初めてだよ」
……ん?
口を半開きにしたアホ面でフリーズしていると、ユキが私の頰に指先で触れる。
これって、どういうこと……?まさか、違うわよね。