消えた未来
最終話
 暗い部屋の中に閉じこもって、どれだけの時間が過ぎたのか、私は知らない。

 ときどきお母さんたちがご飯を持ってきてくれたけど、喉を通らなくて、そのまま返した。

 何度も来て、今もまた、ノックの音がした。

「……真央、私。星那。入っていい?」

 予想外の人物の声が、ドアの向こうからしてきた。

 だけど、大声で泣いたあとから声を出していなかったから、返事の音が出なかった。

 それでも、ドアが開いた。

 お母さんたちが、返事がなくても開けていいとでも言っておいたのだろうか。

 星那がドアを開けたことで、眩しいくらいの光が部屋に入る。

「……久我の葬式、明日だって」

 星那はドアを開けたまま、その場で話した。

 しかしその内容が聞きたくなくて、私は耳を塞ぐ。

「真央、ちゃんと聞いて」

 星那は部屋に入ってきて、私の両手首を掴む。

 上手く力が入らなかったことで、抵抗する力が弱く、簡単に耳から外されてしまった。

「……嫌……聞きたくない……久我君がこの世にいないなんて、私は信じない! 星那のせいだ……星那が、久我君を見つけたって教えるから!」

 掠れた叫び声だった。

 そして、その言葉は八つ当たり以外の何物でもなかった。

「……うん、私のせいだ。ごめんね、真央」
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