消えた未来
「真央、明日は暇?」
「普通に学校だけど」
「あ、真央はまだ高校生だった」

 お姉ちゃんは思い出したように言った。

 それがなんだかおかしくて、さっきまで暗い話をしていたとは思えないくらい、自然と笑っていた。

「そうだよ。大学生の感覚で話さないで」
「ごめん、ごめん」

 お姉ちゃんの声も楽しそうで、少し安心した。

「それで、放課後は暇?」
「うん。でも、お姉ちゃんは大丈夫なの?」
「私から聞いておいて、予定があったらびっくりだよね」

 それもそうだ。

 私たちはまた笑い合う。

「明日、直接会って話したいから、放課後学校に迎えに行くね」
「家だとダメなの?」
「お母さんたちがいると、話しにくいから」

 そう言われると、気になって今話してほしいと思ったけど、直接話したいと言われた手前、聞きたいとは言えなかった。

「じゃあ、また明日ね」
「わかった」

 そして電話を切ると、星那からメッセージが届いていた。

『奈穂さんと話せた?』

 ちょうど赤信号で立ち止まっていたから、そのまま返信する。

『うん』

 いろいろ言いたいことはあったけど、星那が私のことを思ってしてくれたことだとわかっていたから、そっけない返事しかできなかった。
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