消えた未来
第九話
  ◆

 久我君の話が終わっても、なにも言えなかった。

 むしろ、なにを言えばいいのか、わからなかった。

 あと、最後の『学校での繋がりはいらなかった』という言葉が頭に残り続けて、胸が苦しかった。

 それなら私の存在は迷惑だったのかなとか、どうして私に話してくれたのだろうとか、いろいろなことを考えてしまう。

「それって、真央のこと迷惑だって思ってたってこと?」

 すると、星那が怒りの込められた声ではっきりと言った。

 最も無視したかったことだったのに、ちゃんと言葉にされて、私は顔が上げられなかった。

「もしそう思っていたら、こんな話するわけないだろ」

 一人でその言葉に安心する。

「じゃあ、本当なんだ」
「嘘をつく意味ないし」

 私が話さないからか、星那がどんどん進めていく。

 少し待ってほしいくらいのペースで、私も聞きたかったことを聞いていく。

 視線で気付いてくれないかなと思って星那を見ても、星那は真っ直ぐ久我君を見ている。

「で、私たちに話した理由は?」
「……なんとなく」

 その質問には、歯切れが悪かった。

 久我君の表情は、なにかを隠していると言っているようだ。

 星那も気付いたみたいで、久我君から目を逸らそうとしない。
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