酔いしれる情緒
名前と好きな場所を知りました。



「凛。おはよ〜」

「…………………」



目が覚めると、目の前に顔が。


もはや驚きを通り越して無になった。



「……勝手に部屋入ってこないで」

「起こしにきた」

「頼んでない」



ぐっすりと寝てたのに…



別に良い夢を見ていたから起こされてイラッときたわけではなく、

今日は久々に仕事が休みで、ゆっくり寝ていたかったにも関わらず起こされたから。


それにイラッときた。



「早く準備しないと遅刻しちゃうよ?」



ああ、そうか。言ってないな。

別に言う必要ないと思って言ってなかったんだけど。





「今日休みだから」

「えっ!?休みっ!?」

「なに……」



急に上機嫌になったコイツは、分かりやすく顔がパァ…!っと明るくなった。



「俺もっ…!」

「(聞いてねぇ…)」



だから、いるのか。

この時間に。



いつもなら、朝起きたらすでにコイツはいない。


いつも何時に家を出ているのかは知らないけど、

7時に起きてもいなかったことがあったから、だいぶ早い時間に出て行ってるんだと思う。



「えっ、寝ちゃうの?」

「………………」



毛布を再び身体にかけて、コイツに背を向ける。


だってまだ8時じゃん。眠い。



「えー……」と、寂しそうな声が聞こえてきたかと思えば



「っ!?ちょ、何っ…!」



毛布を捲られ、中に入ってくるコイツ。


ギシッとベッドが軋んだ。
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