ナジャの峡谷被災す
シリリンシャはナジャの峡谷、衛府で暮らしている。

ナジャの峡谷は嵐や山鳴りが多い。
山津波もある。

シリリンシャの父は在野の歴史学者だった。山鳴りや山津波が起こる度に資料調査や現地調査に赴いた。

書庫には本が数多ある。
シリリンシャはその本を大切にしてきた。

本を読み返し読み返し文官として資料を書く。そのときシリリンシャは確かな達成感があった。

地震の記憶。山鳴りは衛府にもしばしば響き、口から口に体制の行方だの、太子さまが如何お過ごしかを下々に噂させるのだった。

ナジャの峡谷は嵐や山鳴り、山崩れが懸念された。製紙産業や薪の採集は木々を切り、山を次第にやせ衰えさせた。

シリリンシャの父がそれに気づいていたのかはわからない。父の不在はシリリンシャが筆をとらせる一因だった。

「山津波で村が飲み込まれてね」
山津波というのは土砂崩れのことだ。昔の文献、古書をシリリンシャは扱っていた。とりわけ十年前に酷い山鳴りが起きてから衛府も殺伐とし、シリリンシャは歴史研究と藩政の立て直しに追われる日々となった。


転機のきっかけは古文献であった。
読書から地震考古学や歴史防災学の存在が明らかになる。藩政の立て直しから本への投資が再開され、シリリンシャは今、筆をとる。
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